不適切表現「IQ3」なぜ問題? IQについての知識
概要
昨今「IQ3」などのようにIQに言及した冗談が見られることがあるが、このような表現には問題が多くある。この記事では、その問題点とIQについての基本的な知識を解説する。
IQ3という表現はなぜ問題か
冗談の不適切性と危険
「IQ3」といった極端に低い数字を用いた、あるいは単にIQに言及した冗談は、知的障害を持つ人々やその問題に敏感な人たちに対して、失礼かつ偏見を助長する可能性がある。IQの数字を軽々しく使うことで、それにまつわるリアルな問題や、特定のグループが直面する困難を矮小化してしまう。
IQの多面性
IQは多くの要因に影響され、単純な数字では測れない(後述)。
知的障害のリアリティ
世の中にはIQが低く、日々いろいろな困難に直面している人々がいる。その人々の厳しい状況を無視する行為となりうる。
"おバカな=IQが低い"は誤解だ
IQは医療や教育で用いられる長期的な指標であり、一時的なものではない。一時的に無知な行動をしたとしても、その人のIQが低いわけではない。そのような単純な関連付けは、知的障害に対する誤解や偏見を増長する。
IQに関する知識
IQスコアの範囲
一般的には、大多数の人が85~115の範囲内にスコアを持つ。また、たとえば、軽度の知的障害ではIQは50~69である。こういった数値を知っておくことで、IQ3という数値を冗談で用いる言い回しがどれだけ不適切で、無知や偏見に満ちているかがわかるだろう。
知的障害とIQ
IQの値だけで知的障害の有無が判断されるわけではない。IQのほかに、日常生活能力水準といったものも評価材料になる。以下の記事も参考にしてほしい。
参考:知的障害(知的発達症)とは?「IQ」と「適応機能」の関係、程度別の特徴や症状、診断基準について解説します【専門家監修】
IQテストの要素
IQテストは多種多様で、すべてのテストが同じ要素を測定するわけではない。IQテストは、論理的思考、言語能力、数学的思考など、多くの側面を評価する。しかし、IQは一人の人間が持つ多様な知能や能力を全て網羅するものではない。例えば、クリエイティブな思考や感情認識など、EQ(Emotional Intelligence Quotient)が関与するような能力は、IQテストでは測定されない。つまり、IQ数値はあくまで一面的な評価であり、それだけで人を測ることはできない。
結論
冗談や瞬間的な評価には不適切
IQを冗談や一瞬の行動・発言の評価に使うのは不適切。また、単純に数字だけで一人の価値や能力を評価することは不適切。
IQに関する正しい理解が必要
IQについて語る際は、その多面性と複雑さを理解した上で、適切な文脈で使用することが重要。